横浜を旅行するにあたり、観光スポットの歴史的な経緯を知っておきたい人や、横浜で生活しているものの、なんとなくしか横浜の街や歴史を知らない人(横浜へ越してきた当初の私)にとって便利な本が、清水克悦氏著『港町は「はじめて」がいっぱい!横浜謎解き街歩き』(2015年 実業之日本社)です。
新書版なので、横浜を旅行・散策する際にカバンへ入れておきやすいサイズと重量です。
全8章で観光名所の歴史的経緯や情報をカバー
『横浜謎解き街歩き』は、全8章で山手から山下町、中華街、元町、関内、伊勢佐木町、野毛、桜木町、みなとみらいと、いわゆる「観光地横浜」のエリアのほとんどをカバーしています。
- 第1章 横浜はじめてゆかりの謎を訪ね歩く
- 第2章 横浜の開港史と街づくりの謎を訪ね歩く
- 第3章 山手の謎を訪ね歩く
- 第4章 山下町の謎を訪ね歩く
- 第5章 中華街・元町の謎を訪ね歩く
- 第6章 関内・馬車道・日本大通りの謎を訪ね歩く
- 第7章 伊勢佐木町・野毛・桜木町・みなとみらいの謎を訪ね歩く
- 第8章 横浜名物の味とみやげを訪ね歩く
構成としては各章ごとにいくつかの謎が提示され、1つの謎に対して4~5ページで解説しながら関連する写真も掲載されるという流れになっています。
エリア的な面でもそうですが、取り扱われている謎の内容も、和親条約・横浜村開港から横浜三塔やマリンタワー、そして崎陽軒のシウマイ、ホテルニューグランドのナポリタンまで、押さえておきたい情報が幅広く掲載されています。
第1章の「はじめて物語」は既知の情報が多いかも?
横浜といえば「日本初」のものが多く、雑誌やテレビなどでもよく取り上げられるため、この本の第1章で解説されている「初の鉄道」「初の理髪店」「初の日刊新聞」などは既に概要を知っているという人も多いかもしれませんね。
それでも、蒸気機関車から立ちションして逮捕される人の経緯や、公衆トイレを設置したもののやはり立ちションが絶えないという下りなどは、「綺麗なニッポン!マナーの良いニッポン!」とやたら謳われることの多くなった日本も、実は昔は全く状況が異なったんだなと、あらためて思い知らされて面白いです。
ヘボン式のヘボンさんや「関内」という地名の経緯は興味深い
個人的には、以前に仕事で取り扱っていた書類が必ずヘボン式で記入しなければならないものであったことから、ヘボン式のヘボンさんの情報はかなり馴染み深いものでした。
とはいえ、今さらながらヘボンさんがヘップバーンさんであったことを知ったのですが、確かに「ヘボン」と言ってしまうほうが、「ヘップバーン」より実際の発音に近い気もしますね。
また、私はいま会社のオフィスとして関内駅の近くに部屋を借りていますが、さすがに関内が「関内」「関外」の関内から由来しているという知識はあっても、あらためて経緯を読んでみると「まあ世の中の移り変わりは早い!そして激しい!」と驚かされ、街の風景が不思議なものに見えてきます。
横浜を観光で訪れる際は別のガイドブックと合わせて
この『横浜謎解き街歩き』は、それぞれの謎に対する解説が詳しすぎず、かといってあっさりしすぎず、薄っぺらいガイドブックよりはかなりの情報が詰め込まれています。ページも分量的にも200ページ超ありますから、これから横浜の街を観光するとか、あらためて横浜の街を散策しようというときの予習にはオススメの本です。
もっとも、横浜エリアの地図が冒頭ページで用意されているとはいっても、この書籍はあくまで謎解き部分がメインなので、歴史的な建造物や史跡がどの場所にあってどんな外観なのか等は、あまり触れられていません。
そのため、冒頭に「カバンに入れておきやすいサイズ・重量」と紹介したものの、この本は観光前の予習本として目を通しておいて、実際に街へ繰り出すときにはよくあるタイプのガイドブックを持参するほうが良さそうです。(地元の人があらためての横浜散策というなら、もちろん話は違いますが)
いや、それにしても。立ちションって見かける機会がめっきり少なくなりましたよね。私が子供の頃は、まだオッチャンが他人様の壁なんかに立ちションしてる姿を見かけた記憶もあるのですが、ここ数年はほとんど目にしなくなりました。(このネタで締めるとは)