先月、会社の所在地を横浜に移転しましたが、社名が会社設立当時にとりあえずで付けたままになっていたため、業態が分かりやすいものに合わせて商号(会社名)の変更を行いました。
社名変更自体は登記を変えるだけでよいのですが、それに付随して発生する手続きの多いこと多いこと。ということで、社名変更で生じた諸手続きについて、備忘録的にまとめてみました。
会社名の変更前に必要な手続き
類似商号の調査
会社名を変えるとき、最初に行ったのは類似商号の調査です。会社法が施行されて以降、そこまで類似商号には注意せずともよくなりましたが、それでも近隣や同一区内などに同じ商号の会社が存在すると、郵便物の誤配や間違い電話が生じる可能性などはあります。
そこで、法務局のデータを検索するかたちで、これから変える社名の類似商号の調査を行いました。
商標の調査
類似の会社名が近隣に(というより今回は日本に)無いことがほぼ確認できたので、次は念のために商標登録されていないか、データベースで確認しておきました。社名変更の手続きが全て完了してから「その会社名、ウチで商標登録してますよ」と言われると面倒なので。
商号調査の後に商標調査という順で書きましたが、実際はいくつか候補の社名を出した段階で商標登録されていないかの確認を行って、問題があるものはその段階で省いたため、実際の流れは逆に商標調査のほうが先でした。
印鑑の発注
類似の会社名が無く、また商標登録もされていないようなので、この段階で新しい会社名で印鑑を発注しました。作成したのは会社実印、銀行印、角印のいわゆる「会社印3本セット」というやつです。
銀行印はわざわざ単体で作らなくとも、今は会社実印と兼用する会社も多いかと思います。私も旧社名のときは兼用していましたが、今回は分けて作ることにしました。
最近は安価かつ短期に納品してくれるネットショップも多いので、印鑑作成はかなり便利になりましたね。
商号変更の登記
登記上の会社名(商号)を変えるため、法務局への変更登記申請を行いました。この手続きは司法書士さんにお任せしたので、実際やったことといえば書類・議事録等への押印くらいです(買ったばかりの会社実印を使用)。
会社名(商号)を変える場合、登記上のくくりは事業目的の変更と同じくくりなので、会社名だけ変更しても登録免許税は3万円、事業目的まで合わせて変えても3万円で、差が生じません。
ということで、せっかくなので事業目的のほうも気になっていた文言を調整したり、新たな目的を追加したりしました。
会社名の変更後に必要な手続き
社名変更の登記申請後、約1週間で新たな会社名での履歴事項全部証明書(登記簿謄本)や会社の印鑑証明書が取得可能に至ったので、これらを利用して諸々の変更届を進めました。
社会保険の変更届
まずは厚生年金や健康保険についても社名変更の手続きが必要だったので、これらの変更から。といっても、この手続きは社会保険労務士さんにお願いしたので、登記変更同様に私が行ったのは書類への押印程度です。
ドメインの新規取得
法人登記している会社が使える「.co.jp」ドメインは、以前は1会社1ドメインという決まりがあったようですが、最近は社名変更とか吸収合併とか、そういった会社の組織変更の場合に複数所持が可能なようです。
ということで、新しい社名で.co.jpドメインを取得し直しました。メールアドレスなども、すべて新しいドメインで作り直しました。
ドメイン会社、サーバー会社への変更手続き
既に会社として取得しているドメインやレンタルしているサーバーは、会社名が変わることで契約者名の変更手続きが必要となります。
各ドメイン取得会社、レンタルサーバー会社へ、社名変更の手続きを行いました。
賃貸物件の名義・所在地変更
会社の事務所として借りている物件については、賃借人の名義が変更となるため、こちらは不動産屋さんに連絡して変更の手続きを行いました。順番が前後しますが、家賃を銀行引落にしているため、銀行口座名が変わったこともこの際に連絡して手続きを行いました。
銀行口座の名義変更
会社名で契約している銀行口座は、すべて社名変更による変更手続きが必要です。ということで、各系列の銀行窓口へ行って会社名の変更届を提出しました。
通帳はその場で新しい会社名のものに発行し直して(繰り越して)くれることが多かったですが、キャッシュカードは後日新しい社名のもので郵送という流れでした。
公共料金の名義変更
会社名や銀行口座の名義が変更となったため、電気、ガス、水道などの公共料金や、プロバイダーなど固定費が発生するサービスについても、すべて名義変更を行いました。
携帯電話の名義変更
携帯電話会社の名義変更も行いました。ウチの場合は本店移転と社名変更を同時に行ったので、場合によっては履歴事項全部証明書ではなく閉鎖の登記事項証明書が必要となることもありました。
レンタルオフィスの所在・名義変更
事務所として賃借している物件とは別に、東京のほうにレンタルオフィスとして借りているオフィスがあるため、こちらの契約も会社名が変わったということで名義変更の手続きを行いました。(この手続きは、変更手数料が発生)
ロゴマークの刷新
会社名が変わったので、会社のロゴマークも新しい社名と合致するデザインに変更しました。デザイン関係は自社内でなんとかなるので、ロゴマークについて外注費用は発生しませんでした。
ウェブサイト上の社名の修正
公開中のウェブサイトには旧社名が多々表示されているので、すべて新社名へと置き換えました。文字データは検索すれば出てくるのでまだ楽なのですが、ロゴマークと合わせて画像化されているデータが配置されていると、なかなか気付かない可能性もありますね。
以上が会社名の変更前後で必要となった主な手続きです。ウチは小さな会社なのでそれほど手続き量は多くなりませんが(とはいえ、逆に本業の合間にこれを進めていくのは結構面倒なのですが)、細かい手続きでも積もると色々あるものですね。
履歴事項全部証明書や印鑑証明書は最低限の取得で足りるかも
ちなみに、社名変更後の手続きで使うかなと思って履歴事項全部証明書を4通取得していたのですが、原本が必要になった手続きは1つだけで、後はコピーの提出で事足りました。3枚無駄になっちゃった。
証明書は1通600円するので、社名変更や本店移転の手続き後の手続きで利用する際は、あまり多い通数を取っておかなくても、足りなくなったら取得するくらいがよさそうです。